賞与(ボーナス)の仕組み|外国人が知っておきたい基本

最終更新日:2026年11月5日

結論:賞与(ボーナス)は、法律で必ず支払うことが決められているものではありません。支給の有無や金額は、会社の就業規則や労働契約で決まります。 厚生労働省のモデル就業規則にも、賞与は法律で設けることが義務づけられていないと書かれています。求人票の「賞与あり」は、条件や金額を確認して初めて意味が分かります。この記事では、法律上の位置づけ、求人票の読み方、保険料と税金の基本を整理します。

賞与とは:法律上の位置づけ

賞与とは、月々の給与とは別に、年に数回支払われる給与のことです。厚生労働省のQ&Aでは、賞与は「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」と説明されています。

支払い義務については、厚生労働省のモデル就業規則に次の趣旨の解説があります。

  • 賞与は、労働基準法その他の法律で設けることが義務づけられているものではない
  • 賞与を支給する場合は、就業規則に支給対象の時期、算定基準、査定期間、支払方法などを明確にしておく必要がある

また、就業規則などで支給条件があらかじめ明確に定められている賞与は、労働基準法上の「賃金」に含まれます(厚生労働省労働局のページ)。つまり、会社が制度として決めた賞与は、約束した条件に沿って支払われるべきものになります。

賞与の有無・条件が自分の場合にどうなるかは、個別の契約内容によります。不明なときは、会社の担当者か、労働基準監督署の総合労働相談コーナーに確認してください。

求人票・労働条件通知書での見方

求人票では「賞与あり(年2回)」「前年度実績◯か月」のように書かれます。大切なのは、書いてある内容が「約束」なのか「実績の紹介」なのかを区別することです。以下の読み方は一般的な説明であり、会社により異なります。

求人票の書き方 読み方の目安 確認したいこと
賞与あり(年2回) 制度があり、年2回支給する予定 支給月、算定の基準、金額が決まっているか
前年度実績◯か月 過去の実績の紹介。今後の支給額を約束するものではない 何年分の実績か、基本給の何か月分か
業績による 会社の業績によって、金額や有無が変わる 過去の支給状況、不支給の場合があるか
賞与なし 制度がない 年収に含まれる手当や月給の水準

「◯か月分」は、一般に基本給の何か月分かを示す表現です。ただし、基本給のみが基準なのか、手当を含むのかは、会社により異なります。面接や内定後の確認で、基準になる金額を聞いておくと安心です。

内定後に受け取る労働条件通知書では、賞与の欄を確認しましょう。厚生労働省のモデル様式には「賞与(有(時期、金額等)、無)」という欄があります。記載要領には、賞与が業績等に基づき支給されない可能性がある場合は、制度としては「有」と明示しつつ、その旨も明示する、という趣旨の注意書きもあります。通知書の読み方は労働条件通知書の読み方で詳しく説明しています。

年収全体の目安は、日本の年収の目安で公的統計をもとに紹介しています。

賞与はいくらくらい?公的統計の数字

賞与の金額の平均は、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」で確認できます。この調査では、夏冬の賞与などを「特別に支払われた給与」として扱っています。

2025(令和7)年の夏季賞与は、支給事業所における労働者一人平均で次のとおりです(2025年11月6日公表の9月分速報、厚生労働省)。

事業所規模 一人平均賞与額(夏季) 前年比
5人以上 426,337円 2.9%増
30人以上 496,889円 3.8%増

(2025年夏季、出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 2025(令和7)年9月分結果速報等」)

この数字には、次の注意点があります。

  • 賞与が支給された事業所の労働者の平均で、賞与のない会社は含まれません
  • 速報値であり、確報で改訂される場合があります(同資料)
  • 業種、会社の規模、職種、勤続年数で、実際の金額は大きく変わります

2026年夏季分の数字は、この記事の確認時点では確認できていません。最新の数字は、厚生労働省の毎月勤労統計調査のページでご確認ください。

求人を探すときは、平均額よりも、応募先の条件を重視しましょう。東京の求人を見る、営業職の求人を見るなどで、賞与の記載がある求人を比べてみてください。

賞与にかかる社会保険料と税金の基本

賞与からも、社会保険料と税金が引かれます。額面の賞与より、実際に受け取る金額は少なくなります。

社会保険料(健康保険・厚生年金保険)

日本年金機構の説明では、賞与の保険料は次の手順で計算します。

  1. 税引き前の賞与の総支給額から、1,000円未満を切り捨てる(これが「標準賞与額」)
  2. 標準賞与額に、健康保険・厚生年金保険の保険料率を掛ける
  3. 保険料は、会社(事業主)と被保険者で半分ずつ負担する

標準賞与額には上限があります(日本年金機構)。

保険 上限
健康保険 年度(4月1日〜翌年3月31日)の累計で573万円
厚生年金保険 1か月あたり150万円(同じ月に2回以上支給された場合は合算)

また、年4回以上支給される賞与は、賞与ではなく月々の給与(標準報酬月額)の対象になります。会社は、賞与を支払った日から5日以内に「被保険者賞与支払届」を提出します(日本年金機構)。保険料率は、加入先や年度で異なるため、日本年金機構や協会けんぽの公式ページで最新の率をご確認ください。

所得税(源泉徴収)

賞与から引かれる所得税は、国税庁の「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」で計算するのが原則です(国税庁 No.2523、令和8年4月1日現在法令等)。

国税庁の説明の要点は次のとおりです。

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は甲欄、提出していない場合は乙欄を使う
  • 甲欄の通常の計算では、前月の給与(社会保険料等を引いた後)と扶養親族等の数に応じた税率を、賞与から社会保険料等を引いた額に掛ける

税額の細かい計算は会社の給与担当者が行います。ご自身で計算する必要はありませんが、明細に何が引かれているかは確認しましょう。月給の手取りとの違いは、手取りの目安と引かれるお金で説明しています。

試用期間・入社初年度・退職時はどうなる?

これらの扱いは、会社の就業規則や賞与の規程によって異なります。一律に決まっているわけではありません。

  • 試用期間中:賞与の対象になるかどうかは、会社の規定によります。
  • 入社初年度:算定対象期間の在籍期間に応じて決まる会社もあれば、対象外とする会社もあります。
  • 退職するとき:厚生労働省のモデル就業規則には、賞与の支給対象者を、一定の日(支給日など)に在籍した者とする規定を設けることも可能という趣旨の解説があります。その規定がある会社では、支給日より前に退職すると、賞与が支給されないことがあります。

退職を考えている方は、就業規則の賞与の項目で、算定対象期間と在籍の条件を確認してください。手続きの全体は退職の手続きに整理しています。入社前の確認では、面接で「入社初年度の賞与の扱い」を質問してもかまいません。

賞与について疑問や不安があるときは、まず会社の担当者に確認します。それでも解決しない場合は、労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談できます。

よくある質問

Q. 賞与は、日本の会社なら必ずもらえますか。 A. いいえ、必ずもらえるわけではありません。賞与は法律で支払いが義務づけられておらず、会社の就業規則や労働契約で決まります。求人票や労働条件通知書で、賞与の有無と条件を確認してください。

Q. 「賞与あり」と書いてあれば、金額は決まっていますか。 A. 決まっているとは限りません。「賞与あり」は制度があるという意味で、金額は業績や評価で変わる会社もあります。「前年度実績」は過去の実績の紹介であり、今後の約束ではない点にも注意しましょう。

Q. 賞与の手取りは、いくらになりますか。 A. 会社によって異なるため、一律には言えません。賞与からは、社会保険料と所得税が引かれます。標準賞与額には保険の種類ごとに上限があり、税額は扶養親族の数などで変わります。支給時の明細で確認してください。

Q. 外国人でも、日本人と同じように賞与の対象になりますか。 A. 賞与の対象かどうかは、会社の就業規則や契約の内容で決まります。まず雇用契約書と就業規則の賞与の項目を確認してください。条件に不明な点があれば、会社や労働基準監督署に確認してください。

Q. 賞与の支給日の前に退職すると、もらえませんか。 A. 会社の規定によります。支給日に在籍していることを条件とする規定がある場合、支給日前の退職では支給されないことがあります。退職日を決める前に、就業規則を確認しましょう。

次のステップ

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最終更新日:2026年11月5日。制度は変更されることがあります。最新情報は厚生労働省・日本年金機構・国税庁などの公式サイトでご確認ください。

参考にした公的情報

制度は変更されることがあります。最新の情報は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公式サイトで確認してください。