外国人労働者の権利|有給休暇・残業代・解雇予告の基本
結論:日本で働く外国人にも、日本人と同じように労働基準法などの労働関係法令が適用されます。 国籍を理由に賃金や労働時間などの条件を差別することは、法律で禁じられています(厚生労働省の資料)。この記事では、有給休暇・残業代・最低賃金・解雇予告の基本と、困ったときの相談先を整理します。個別のケースの判断はできないため、迷ったときは労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談してください。
労働基準法は外国人にも適用される
労働基準法は、外国人にも等しく適用されます。厚生労働省のリーフレットは「労働関係法令も、当然、等しく適用されます」としています。労働基準法とは、賃金・労働時間・休日・解雇などの最低限のルールを定めた法律です。
同じ資料に書かれている、外国人が知っておきたい基本は次のとおりです。
- 国籍を理由に、賃金・労働時間などの労働条件で差別的に扱うことは禁止されています(労働基準法第3条)。
- 会社は、契約の際に賃金・労働時間などの労働条件を明示する必要があります。賃金や労働時間などは、書面(労働条件通知書など)で渡すことが必要です(第15条)。
- 賃金は、原則として通貨で、本人に直接、全額を、毎月1回以上、決まった日に支払う必要があります(第24条)。
- 退職の際、本人から請求があれば、会社は賃金を7日以内に支払い、本人の物を返す必要があります(第23条)。会社がパスポートを保管しないようにすることも求められています。
労働条件通知書の見方は労働条件通知書の読み方で説明しています。なお、在留資格で認められる仕事かどうかは、労働基準法とは別の話です。
年次有給休暇:付与の条件と日数
年次有給休暇(有給)とは、働いても休んでも賃金が支払われる休暇です。雇い入れの日から6か月間続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤した人に、10労働日が与えられます(厚生労働省「確かめよう労働条件」、2026年11月時点)。
週の所定労働日数が多い人(一般の労働者)の付与日数は、次の表のとおりです。
| 継続勤務年数 | 付与日数 |
|---|---|
| 6か月 | 10日 |
| 1年6か月 | 11日 |
| 2年6か月 | 12日 |
| 3年6か月 | 14日 |
| 4年6か月 | 16日 |
| 5年6か月 | 18日 |
| 6年6か月以上 | 20日(上限) |
1年6か月以上の勤続の場合は、前の1年間の出勤率が8割以上であることが条件です。週の所定労働日数が少ない人には、日数に応じて少なくなる「比例付与」の日数が適用されます。パートやアルバイトの人は、勤務先に自分の日数を確認してください。
ほかに、次の点も同じページで確認できます。
- 2019年4月から、年10日以上の有給が付与される人について、会社は付与日から1年以内に5日以上を取得させる義務があります。
- 有給の権利は、発生した日から2年間で時効により消滅します。
- 退職日をもって有給の権利は消滅します。退職前に残りの日数をまとめて申請した場合、会社は時季変更権(取得日を別の日にずらす権利)を使えないため、原則として取得を認める必要があるとされています。
退職時の有給の扱いは、退職の手続きと流れでも触れています。
残業代(割増賃金)の割増率
法律で定められた労働時間(法定労働時間)を超えて働いた場合や、休日・深夜に働いた場合、会社は通常の賃金に割増をして払う必要があります。割増率は次のとおりです(厚生労働省「確かめよう労働条件」、2026年11月時点)。
| 働いた時間 | 割増率(1時間当たりの賃金に対して) |
|---|---|
| 時間外労働(法定労働時間を超える分) | 25%以上 |
| 深夜労働(午後10時〜午前5時) | 25%以上 |
| 法定休日の労働 | 35%以上 |
| 1か月60時間を超える時間外労働 | 50%以上 |
月60時間を超える時間外労働の50%以上という率は、中小企業にも2023年4月1日から適用されています。同ページでは、中小企業への猶予措置が2023年4月1日に廃止されると説明されています。
求人票や労働条件通知書に「固定残業代(みなし残業)」と書かれている場合は、何時間分の残業代が含まれているかを確認しましょう。含まれる時間を超えた分の扱いは、会社に確認してください。
最低賃金は国籍や雇用形態に関係なく適用される
最低賃金とは、会社が労働者に支払わなければならない賃金の最低額です。地域別最低賃金は、都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。パートタイマー、アルバイトなど雇用形態や呼び方は関係ありません(厚生労働省「最低賃金の適用される労働者の範囲」)。厚生労働省のリーフレットも、外国人労働者に最低賃金が適用されることを示しています。
最低賃金は都道府県ごとに決まり、毎年改定されます。ご自身が働く都道府県の最新の金額は、厚生労働省の最低賃金の特設サイトで確認できます。試用期間中の人などについては、都道府県労働局長の許可を条件に、金額を減らす特例があります。
給料の額面と手取りの違いは、手取り額の計算で説明しています。
解雇予告:30日前の予告か、予告手当
会社が労働者を解雇する場合、原則として少なくとも30日前に予告するか、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります(労働基準法第20条)。厚生労働省のリーフレットでは、次のように整理されています。
| 方法 | 内容 |
|---|---|
| 30日前に予告する | 予告の日は日数に数えません。予告が30日に満たない場合は、不足日数分の平均賃金が必要です |
| 予告しない | 解雇と同時に、30日分以上の平均賃金を支払います |
平均賃金とは、解雇する前の3か月間の賃金の合計を、その期間の総日数で割った金額が基本です。
次のような場合は、解雇予告の規定が適用されません(労働基準法第21条)。
- 日々雇い入れられる人(1か月を超えて続けて使われた場合は対象)
- 2か月以内の期間を定めて使われる人(その期間を超えて続けて使われた場合は対象)
- 季節的業務で4か月以内の期間を定めて使われる人(同上)
- 試用期間中の人(14日を超えて続けて使われた場合は対象)
また、天災などで事業が続けられない場合や、労働者に責任がある場合でも、労働基準監督署長の認定を受けた場合に限り、予告なしの解雇ができるとされています。解雇には客観的で合理的な理由が必要です。口頭の予告でも有効ですが、書面でもらうことが望ましいとされています。
解雇された場合は、会社に解雇理由を書いた証明書を請求できます(第22条)。解雇されたときや契約が終わったときは、在留資格に関する届出も必要になることがあります。手順は外国人が日本で転職する流れを見てください。
困ったときの相談先
労働条件で困ったときは、無料で使える公的な相談窓口があります。どこに相談すればよいか分からなければ、まず総合労働相談コーナーから始められます。
| 窓口 | 内容 |
|---|---|
| 総合労働相談コーナー | 解雇・雇止め・賃金の引下げ・いじめなどの相談を、労働者も事業主も無料で、予約なしで利用できます。全国の労働局や労働基準監督署内に378か所あります。土日祝日と年末年始は閉庁です。外国人労働者向けに多様な言語での相談にも対応しています |
| 労働条件相談ほっとライン | 厚生労働省の委託事業で、無料の電話相談です。日本語に加え、英語・中国語・ポルトガル語・スペイン語・タガログ語・ベトナム語・ミャンマー語・ネパール語・韓国語・タイ語・インドネシア語・カンボジア語・モンゴル語に対応します。平日夜と土日祝日が受付時間で、言語ごとに対応曜日が違います |
| 外国人労働者向け相談ダイヤル | 同じく13の外国語で相談できる電話窓口です。受付は10:00〜15:00(12:00〜13:00を除く)で、通話料がかかります。言語ごとに曜日が違います |
電話番号と、言語ごとの対応曜日は、厚生労働省の「外国人労働者向け相談機関」のページに一覧があります(2026年11月時点)。窓口の曜日や時間は変わることがあるため、電話の前に最新の案内を確認してください。
賃金の未払いなど、労働基準法の違反が疑われる場合は、労働基準監督署も相談先になります。
よくある質問
Q. 留学生のアルバイトにも労働基準法は適用されますか。 A. 労働基準法は、日本国内で働く人に適用されるのが基本です。ただし、留学生などが働ける時間は在留資格による制限が別にあります。上限時間などは出入国在留管理庁の案内で確認してください。
Q. 有給休暇の日数は、パートやアルバイトでも同じですか。 A. 同じとは限りません。週の所定労働日数が少ない人には、日数に応じた「比例付与」の日数が適用されます。ご自身の日数は、就業規則や労働条件通知書、または勤務先の担当者に確認しましょう。
Q. 有給休暇を取りたいのですが、会社に断られました。どうすればよいですか。 A. まず就業規則と、会社が定める申請の方法を確認し、早めに申請の記録を残しておきましょう。それでも解決しない場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます。個別の判断は、窓口の担当者に確認してください。
Q. 日本語に自信がなくても、相談できますか。 A. はい、できます。労働条件相談ほっとラインや外国人労働者向け相談ダイヤルは、英語や中国語を含む複数の言語に対応しています。ただし、対応する曜日と時間が言語ごとに違うため、事前に確認してください。
Q. 退職するときに、未払いの賃金は請求できますか。 A. 退職の際に本人から請求があれば、会社は賃金を7日以内に支払う必要があります。金額に納得できないときは、給与明細などの記録を持って、労働基準監督署に相談しましょう。
次のステップ
労働条件を理解したうえで、自分に合う職場を探すことが大切です。条件を比べながら探すなら、日本語N2以上の求人や、東京の求人から見られます。無料会員登録をすると、気になる求人に応募できます。無料会員登録はこちら
最終更新日:2026年11月5日。制度は変更されることがあります。最新情報は厚生労働省や労働基準監督署などの公式サイトでご確認ください。個別の判断は、総合労働相談コーナー、労働基準監督署、または専門家(社会保険労務士・弁護士など)に相談してください。
参考にした公的情報
- 外国人を派遣労働者・期間工などで雇用する事業主の皆様へ(厚生労働省)
- 年次有給休暇|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 時間外・休日労働と割増賃金|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 最低賃金の適用される労働者の範囲(厚生労働省)
- リーフレットシリーズ労基法20条 解雇予告(厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署)
- 退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 外国人労働者向け相談機関のご紹介(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 総合労働相談コーナーのご案内(厚生労働省)
制度は変更されることがあります。最新の情報は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公式サイトで確認してください。
