退職の手続きと流れ|外国人が忘れやすい届出と書類
結論:退職するときは、会社への申し出のほかに、雇用保険・健康保険・年金・住民税、そして在留資格に関する届出(対象の在留資格の場合は14日以内)を確認する必要があります。 会社が手続きしてくれるものと、自分で窓口に行くものがあります。この記事では、その違いと流れを整理します。個別の判断は、各窓口や専門家に確認してください。
退職の意思表示:いつ、どう伝えるか
期間の定めのない雇用契約の場合、退職の申し入れは「原則として2週間前まで」とされています(民法第627条。厚生労働省「確かめよう労働条件」)。会社の就業規則に退職の手続きが書かれていることが多いため、先に読んでおきましょう。ただし、退職を認めない規定や、予告期間を大幅に長くする規定は、無効になる場合があるとされています。
契約期間が決まっている有期契約の場合は、期間の途中で辞めるには、原則として「やむを得ない事由」が必要です。契約期間が1年を超える場合は、1年を経過した日からいつでも退職できます。ただし、高度の専門的知識を持つ人や満60歳以上の人との契約は例外です(同ページ)。
退職の申し出の方法には、2つの考え方があります。
| 種類 | 内容 |
|---|---|
| 合意退職(退職願) | 会社が承諾した時点で成立します。承諾の前なら、撤回できます |
| 任意退職(辞職・退職届) | 本人が一方的に伝えます。会社が承諾しなければ、意思表示から2週間後に効力が生じます |
どちらの場合も、承諾後や辞職の申し入れ後に取り消すには、原則として会社の同意が必要です。退職日と書類の宛先は、上司に伝えたうえで、書面(退職届)で残すと、後の確認に役立ちます。
有給休暇の消化
退職日までに、残っている有給休暇を使うことができます。有給の権利は、退職日をもって消滅します。厚生労働省のページでは、退職前に残りの日数をまとめて申請された場合、会社は時季変更権(取得日をずらす権利)を使えないため、原則として取得を認める必要があるとされています。
一方、引き継ぎのために退職日を遅らせたいという会社からの相談に応じるかどうかは、本人が決めることとされています。有給の日数の数え方は、外国人労働者の権利の表で確認できます。
会社から受け取る書類と、会社に返すもの
退職後の手続きは、会社から受け取る書類が必要になるものが多くあります。次の表を確認しましょう。
| 受け取る・確認するもの | 使う場面 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者離職票(-1、-2) | ハローワークでの失業給付の手続き。退職後に会社から届きます |
| 退職証明書 | 労働者が請求すれば、会社に発行を求められます(労働基準法第22条) |
| そのほかの書類 | 退職後に会社から受け取る書類は、会社ごとに違います。退職前に担当者へ確認しましょう |
| 年金に関する書類(基礎年金番号が分かるもの) | 国民年金に加入する際に使います |
退職時には、会社から借りているもの(社員証・制服・PCなど)を返し、自分の持ち物(パスポートや在留カードなど)が返却されているかも確認します。厚生労働省の資料では、会社はパスポートなどを保管しないようにすることが求められています。退職の際、本人から請求があれば、会社は賃金を7日以内に支払い、本人の物を返す必要があります。
離職票と雇用保険(失業給付)
退職後に仕事が決まっていない場合は、ハローワークで雇用保険の失業給付(基本手当)の手続きができる場合があります。手続きの流れは次のとおりです(ハローワークインターネットサービス)。
- 離職後、会社から離職票(-1、-2)が届く。届かない場合は、住居地を管轄するハローワークに相談する
- 住居地を管轄するハローワークで求職の申込みをし、離職票を提出する
- 受給説明会に出席する
- 原則4週間に1度、失業の認定を受ける
- 認定を受けると、指定した口座に基本手当が振り込まれる
受給できる条件の基本は、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上あることです。解雇などで離職した場合などは、離職の日以前1年間に通算6か月以上で足りる場合があります。申込み後、失業の状態が7日間続くまでの期間(待期)は、基本手当が出ません。
自己都合で退職した場合は、待期のあとに給付制限の期間があります。期間は離職の時期や理由で変わることがあるため、ハローワークで確認してください。求職の申込みでは、離職票のほか、個人番号(マイナンバー)の確認書類、身元の確認書類(在留カードなど)、本人名義の口座が分かるものが必要になります。必要書類の詳細は、お住まいを管轄するハローワークの案内で確認しましょう。
雇用保険は、外国人労働者にも等しく適用されます(厚生労働省)。ただし、受給できるかどうかは、在留資格や就労の状況、本人の状況によって変わるため、ハローワークに確認してください。
健康保険と年金の切替え
会社を辞めると、会社の健康保険と厚生年金から外れます。次の仕事が決まっている場合は、新しい会社で加入します。空く期間がある場合は、次の方法から選びます。
| 手続き | 内容 | 窓口 |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 市区町村の制度です。保険料は市区町村ごとに決まります | お住まいの市区町村の国民健康保険担当課 |
| 任意継続(協会けんぽの場合) | 退職日までの被保険者期間が継続して2か月以上あることが条件です。退職日の翌日から20日以内に手続きします。加入期間は2年間で、保険料は退職時の2倍が基本です(上限あり) | お住まいの都道府県の協会けんぽ支部 |
| 家族の健康保険の被扶養者 | 家族の健康保険の条件を満たす必要があります。被扶養者の保険料の負担はありません | 家族の勤務先 |
(2026年11月時点、出典:協会けんぽ)勤めていた会社が協会けんぽ以外の健康保険組合に加入している場合は、任意継続のルールが異なることがあります。会社に確認しましょう。
年金は、国民年金への加入手続きが必要です。退職した日の翌日から14日以内に、お住まいの市区町村の窓口で手続きします。基礎年金番号が分かる書類かマイナンバーカードなどを持参します。退職直後は、前の勤務先の資格喪失日を証明する書類(離職票など)が必要になることがあります(2026年11月時点、出典:日本年金機構)。
住民税と、在留資格の届出
住民税は、前年の所得をもとに決まり、退職後も請求が続きます。給与から天引き(特別徴収)されていた人が退職すると、残りの住民税を一括で支払うことがあります。1〜5月に退職する場合は、残りの住民税の全額を一括して徴収することになっています(総務省)。出国する人で、出国までに支払えない場合は、出国前に納税管理人(本人に代わって納税の手続きをする人)を決め、住所地の市区町村に届け出る必要があります。
もう一つ忘れやすいのが、在留資格に関する届出です。出入国在留管理庁の案内では、所属(契約)機関との契約が終了したとき、または新しい契約機関と契約したときは、そのことが起きた日から14日以内に届け出ることが必要とされています。届出の対象となる在留資格は、技術・人文知識・国際業務、特定技能、技能、介護、研究、高度専門職などです。届出はオンライン、窓口、郵送でできます。
ご自身の在留資格が対象かどうか、届出の方法や、仕事を辞めたあとの在留の扱いは、出入国在留管理庁のページや、外国人在留総合インフォメーションセンターで確認してください。詳しい流れは外国人が日本で転職する流れでも説明しています。
帰国する場合と、次の仕事を探す場合
帰国する場合は、年金の脱退一時金の請求や、住民税の納税管理人の届出などが関係します。年金の脱退一時金の概要は、手取り額の計算の記事で説明しています。請求できる条件や期限は、日本年金機構の案内で確認してください。
日本で次の仕事を探す場合は、退職前から求人を見て、条件を比べておくと準備がしやすくなります。東京の求人や、日本語N2以上の求人から探せます。
よくある質問
Q. 退職届は必ず書面で出す必要がありますか。 A. 書面で出すことが必要かどうかは、会社の就業規則で決まっていることが多いため、まず規則を確認してください。日付や内容を記録に残すため、書面(退職届)で出す方法もあります。就業規則に提出方法が決まっている場合は、それに合わせましょう。
Q. 会社が退職を認めてくれない場合は、どうすればよいですか。 A. 期間の定めのない契約の場合、退職の意思を伝えてから原則2週間後に効力が生じるとされています。それでも解決しない場合は、総合労働相談コーナーや労働基準監督署に相談できます。個別の判断は、窓口の担当者に確認してください。
Q. 次の仕事が決まらないまま退職しても、在留資格に影響はありますか。 A. 在留資格の扱いは、個別の状況によって変わります。ここでは判断できません。届出の方法や在留期間の扱いは、出入国在留管理庁または行政書士などの専門家に確認してください。
Q. 離職票が届かないときは、どうすればよいですか。 A. まず会社の担当者に確認しましょう。会社から交付されない場合や、連絡がつかない場合は、住居地を管轄するハローワークに相談することとされています。
Q. 国民健康保険と任意継続は、どちらが得ですか。 A. 一概には言えません。国民健康保険の保険料は市区町村と前年の所得などで、任意継続の保険料は退職時の保険料などで決まります。加入先を決める前に、市区町村の窓口と協会けんぽ支部で金額を確認し、比べましょう。
次のステップ
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最終更新日:2026年11月5日。制度は変更されることがあります。最新情報は出入国在留管理庁、ハローワーク、日本年金機構などの公式サイトでご確認ください。在留資格に関する個別の判断は、出入国在留管理庁または専門家(行政書士・社会保険労務士など)にご確認ください。
参考にした公的情報
- 退職、解雇、雇止めなど|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 年次有給休暇|しっかり学ぼう!働くときの基礎知識(厚生労働省 確かめよう労働条件)
- 外国人を派遣労働者・期間工などで雇用する事業主の皆様へ(厚生労働省)
- 雇用保険の具体的な手続き(ハローワークインターネットサービス)
- 基本手当について(ハローワークインターネットサービス)
- 国民年金に加入するための手続き(日本年金機構)
- 任意継続|給付と手続き(全国健康保険協会 協会けんぽ)
- 外国人の方の個人住民税について(総務省)
- 所属(契約)機関に関する届出(出入国在留管理庁)
制度は変更されることがあります。最新の情報は、出入国在留管理庁・厚生労働省などの公式サイトで確認してください。
